私の職場ではメールサーバとしてさくらインターネットが提供する「さくらのメールボックス」を現在利用しています。Webサイトについては「さくらのVPS」を契約しています。
メールサーバの容量は10GBに抑えられているので、メールデータはサーバへ残さずにメーラー内で管理しています。ちなみに、スタッフの人数は40名ほどで、事務的な対応で利用している分も含めると、70程度のアカウントを使っています。
スタッフが日常業務でメールの送受信する際に使用しているメーラーはGmail。ずっと以前は、Outlook Expressなどを使用していたが、メールデータが貯まるほど動作が重くなったりしたため、定期的なメンテナンスが欠かせませんでした。それを思えば、最近のクラウドサービスの有り難さが身に沁みます。
Gmailもどんどん高性能になりセキュリティもますます高まってきていますが、実はそのおかげで困ったことが生じました。私が送信したメールが、職場のスタッフに届かないケースがありました。
さくらインターネット×Gmail の相性?
メールクライアントとしてGmailを利用していますが、受信メールについてはさくらサーバからGmail宛てに転送させ、送信メールはGmail内に設定したさくらサーバのSMTPを利用していました。
《相手サーバ》
→ To: ●●●@職場ドメイン.jp《さくらサーバ》
→(自動転送設定)
→ Fwd: ▲▲▲@gmail.com《Gmailサーバ》
《さくらサーバ・SMTP》From: ●●●@職場ドメイン.jp
→《相手サーバ》
いつものように職場のスタッフ宛てにメールを送っていると、数時間経っても届かないケースが散見されたので、下記のツールを使ってサーバ間の通信状況を調べてみました。
簡単!メールの遅延原因をメールヘッダーから調査する方法 - huddle
http://n-huddle.com/messageheader-mail-delay/
Gmailに送ったメールが遅延する場合に確認する4つのこと - iT-STUDIO
https://it-studio.jp/gmail-delay/
どうやら、さくらサーバからGmailサーバへの転送のタイミングで遅延が発生しているようでした。


さくらサーバとGmailサーバの相性に何か問題があるのか??
SPFレコードのことも書かれていたので、いろいろと調べてみるとこんな記事を見かけました。
「さくらのレンタルサーバ」における「Gmail」および「Google Apps」宛てのメール遅延に関するお知らせ(1/27追記) - さくらインターネット
https://www.sakura.ad.jp/information/announcements/2014/01/16/844/
さくらのレンタルサーバー IP6利用&SPFレコードについて(Gmail対策) - ストブロ Coffee’s Blog.
https://inst-web.com/2014/02/11/1279
さくらサーバの管理画面を調べてみると、SPFレコードは設定済みでしたが、IPv6アドレスは未設定状態でした。ただそれは、私の特定のメールだけが遅延する原因であるには少し不足感があったので、文面のなかで何かいたずらをしているものがないか、送信分を細切れにしながら何通かテスト送信してみると、どうやら原因らしきものが特定できました。
短縮URL×Gmail が要因?
遅延の発生するメールにはすべて、短縮URLを使っていることが判明しました。「tinyurl.com」を使っているメールは受信までに数時間の遅延が発生していましたが、「bit.ly」に至っては数日間の遅延がありました。
「urx.space」は遅延が発生しませんでしたので、今後はこれ一択かと思いましたが、短縮URLを生成できないURLが時折ありました。なにか法則性やルールがあるのか、詳しくはわかりません。
生成できなかったときのメッセージは、記事『短縮URLの生成スクリプトを設置してみた(1)』で紹介しています。
いろいろと調べてみると、短縮URLは近年、メール犯罪などで多用されていることを紹介している記事をいくつか見かけました。短縮URLが文中にあるメールは、おそらくGmailではspamメールとして判定されやすいようになっているのかもしれません。
ただ、Gmailが他のメールサーバから受信せずに跳ね返すのなら即時にその現象が確認ができるのですが、なぜ遅延して受信されるのか・・・?短縮URLの中身に問題ないことを確認してから、さくらサーバは送信していたのでしょうか??
heteml×Gmail でも同様に遅延が発生
さくらサーバとGmailサーバの相性ではなく、短縮URLの使用が要因であることを確かめるために、個人用として使っている別のメールアドレスで試してみました。
試したメールアドレスはhetemlのレンタルサーバをメールサーバとして利用しており、先の職場のメールアカウントと同じくGmailアドレスに転送させて、Gmailをメールクライアントにしています。こちらのアドレス宛てに短縮URLを文面に使ったメールを送ってみると、やはり同じように遅延が発生しました。
From: ■■■@職場ドメイン.jp《さくら・SMTPサーバ》
→ To: ●●●@職場ドメイン.jp《さくらサーバ》
→(自動転送設定)【遅延発生!】
→ Fwd: ▲▲▲@gmail.com《Gmailサーバ》
From: ■■■@職場ドメイン.jp《さくら・SMTPサーバ》
→ To: ★★★@個人ドメイン.jp《hetemlサーバ》
→(自動転送設定)【遅延発生!】
→ Fwd: ◆◆◆@gmail.com《Gmailサーバ》
ただし、異なる条件では遅延が発生しませんでした。それは、Gmailアドレス(Gmail・SMTPサーバ)から送信した場合です。
From: ◎◎◎@gmail.com《Gmail・SMTPサーバ》
→ To: ●●●@職場ドメイン.jp《さくらサーバ》
→(自動転送設定)【遅延しない!】
→ Fwd: ▲▲▲@gmail.com《Gmailサーバ》
Gmailサーバから送信されたものであれば、送信時にセキュリティチェックをしていたりするからなのでしょうか。理由はよくわかりませんが、参考までにこのような事象であったことを紹介しておきました。
やはりspamメールに判定されていた
今回の遅延問題が、サーバ間の相性によるものではなかったことは判断できました。
そして、テストで送信していたメールうち一部が、数日間の遅延を経てドドッと返送されてきた際に、さくらサーバから「送信不可でした」の通知が届きました。

エラーメッセージを調べてみると、何度もテスト送信していたことが要因でブロックされてしまっていたようです。
ご使用の IP アドレスから大量の迷惑メールが送信されたことを検出しました。ユーザーを迷惑メールから保護するため、ご使用の IP アドレスから送信されたメールを一時的にブロックしました。
https://support.google.com/a/answer/3726730?hl=ja
SMTP エラー リファレンス - Google Workspace 管理者 ヘルプ
https://support.google.com/a/answer/3726730?hl=ja
いずれにしても、今回のメール遅延の原因が、ほぼ「短縮URLを文中に使用していた」ことであると私なりに判断したので、今後の対策として下記を試してみることにしました。
- GmailにPOP3受信設定をする
- 短縮URL生成ページを自分で設置する
(つづく)
Gmailへの転送漏れ対策・POP3受信設定 - RODINIA BLOG
https://chi-k.net/gmail_pop3/
自分専用の短縮URLの生成スクリプト”YOURLS”を設置してみた - RODINIA BLOG
https://chi-k.net/url_short_yourls_1/